『世界地図の下書き』

昨日今日と夏の暑さが戻ってきてしまいましたね。

私事ですが、夏休みの“宿題”やり残しがあり、気にかかっています。
“宿題”とは“小説を一冊読むこと”です。

私は就職して社会人になるまで、恥ずかしながらほとんど読書とは無縁でした。
しかし、仕事をしていく上で必要に迫られながら読書量が増えてきました。福祉関連のものやビジネス書などが中心ですが、多いときで新書や文庫であれば月に5〜6冊読むことが出来るようになりました。読書時間は通勤電車内や就寝前のちょっとした時間で捻出するようにしています。

そんななか、小説を読むことがなく、この夏一冊読むことを自分に課しました。

選んだ本は『世界地図の下書き』(朝井リョウ/著 集英社 2013年)です。

ご存じの方も多いと思いますが、児童養護施設を舞台にした物語です。
また、新進気鋭の若手人気作家・朝井リョウ氏が児童養護施設を題材にしたことにも興味がわき、自分の“課題図書”としました。

その結果は… いま、最終章に入ったところです。
読み終わっていない原因として、以下のように考えられます。
①夏にまとまった時間がとれるかと思いきや…思うようにいかなかった。
②場面場面じっくり読んでしまいスピードが遅い。
③読み終わってしまうのが名残惜しいと思えてしまう。


さておき、ここまで読んできた感想です。
今回、読んでみようと思った最大のきっかけは「朝井リョウ氏がいかに児童養護施設、そして子どもたちを描くのか。」ということ。


これについては、まさに“絶妙”といってよいでしょう。
都内児童養護施設に取材したようですが、その描写は実際現場で働く私が「ある、ある」と頷けるものがあります。
また、登場する子どもたちの心象風景については、おそらく浅井氏らしい表現となっているのでしょう(他の著作を読んでいないので印象だけですが…)。時にせつなく、時にやさしく感じ入ることができます。


私は職員としてのいろいろな経験と重ねながら、ここまで読んできました。
いよいよ物語の終わりが見えてきました。
読書の秋、秋の夜長に主人公たちの“自立”を見届けたいと思います。

                HP係 chief

補足:朝井リョウ氏はサラリーマンで仕事をしながら執筆活動をしているとのこと、敬意を表します。